ブログ / マーケティング基礎知識 / Amazonを利用した越境ECについて分かりやすく解説
アメリカはシアトルに本社を置くAmazon社。2021年4月現在、世界中に2億人以上の有料会員を持ち、ECサイトに出店企業は190万店にも及びます。
アメリカのEC市場では、ウォルマートやeBayなどの競合他社に大きく差をつけて、圧倒的なシェアを誇るAmazon。アメリカをはじめとし、フランス、イギリス、カナダ、日本など、世界中で利用されています。
Amazonで越境ECビジネスを行う場合は、日本の「Amazon.co.jp」ではなく、アメリカの「Amazon.com」での出品がオススメです。海外のお客様が「Amazon.co.jp」にアクセスし、買い物をすることもできますが、言語や画面を切り替える手間などがネックとなり、機会損失となり得ます。
また、「Amazon.com」の月間ビジター数は4.5億もあり、これは日本の5倍以上。売上拡大を見込むなら、「Amazon.com」に出店しない手はありません。
Amazon.comに出店するためには、まず「Amazonグローバルセリング」に登録します。
Amazonグローバルセリングとは、アメリカのAmazon.comをはじめ、イギリスのAmazon.co.uk、フランスのAmazon.frなど、10の国や地域に向けて出品できるようになるシステムのことです(2021年6月現在)。
グローバルセリングの設定をすれば、専用ツールを使って商品の出品や管理、海外発送などができるようになります。
「Amazonに出品する」には2つの方法があります。誤解を避けるために、ここで簡単に両者の違いを見ていきましょう。
最も簡単な方法は、Amazon.co.jpに出店して海外の消費者に商品を販売することです。すでに日本のAmazonに出店しているのであれば別のアカウントを作る必要もないので便利です。
この方法で海外のお客様に商品ページを見てもらいたい場合、英語ページのために英語の商品説明も用意しておきましょう。日本語のままだと、詳細を確認できずにお客様はページを去ってしまう可能性が高くなります。
本格的に「越境EC」に取り組みたいのであればAmazon.comに出店する方が効果を期待できます。その理由をいくつか見ていきましょう。
まず、Amazon.co.jpの月間ビジターが8000万人であるのに対し、Amazon.comだと5倍以上の4.5億人となります。Amazon.comに出店できれば、それだけ多くの人に商品を見てもらう可能性は高くなります。
例えば、海外のお客様が日本のAmazonで買い物をする場合、Amazon.co.jpでのアカウント作成が必要になります。
日本のAmazonで頻繁に買い物をする人であれば、登録に時間を費やすのも問題ないと思いますが、アカウントを持っていない人が1回の購入のためだけに登録を行うとなると、面倒だと感じてしまう人もいるでしょう。
Amazon.comで販売されている場合、同サイト内の他の商品と併せて購入できるので便利です。
また、Amazonで買い物をしたことがある人はお分かりだと思いますが、Amazonは関連商品を推薦してくれます。Amazon.comに出品すれば、自分の商品が関連商品として推薦されることも多くなり、より多くの人の目に留まることになるでしょう。
Amazonの北米市場はAmazon.com(アメリカ合衆国)、Amazon.ca(カナダ)、Amazon.com.mx(メキシコ)、南米市場はAmazon.br(ブラジル)が対象です。北米アカウントに登録したい場合は、クレジットカード情報や納税情報を提出する必要があります。
「Amazon北米統一アカウント」を利用すれば、アメリカ、カナダ、メキシコにおける管理をひとつの出品用アカウントで行えるようになり、シンプルな運営体制を整えることができます。
Amazonのヨーロッパ市場はイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペインが対象です。ヨーロッパにおける月間ユニークビジター数は約2億9千万で、2020年の売上予測は3,700億円と大きな市場です(2019年と比較して8.8%増加)。
中でも市場規模が大きいのはイギリスとドイツで、ドイツは地理的な理由から、ヨーロッパ全域への配送拠点としても重要な役割を担っています。
イギリスに向けて販売する場合は英語でよいのですが、英語以外の言語の場合は、Amazonが提供する翻訳サポートや自社で契約する翻訳会社を利用して、各言語に対応することになります。Amazonに手数料を払って配送などのサポートが得られる「フルフィルメント By Amazon(FBA)」を使えば、商品に関する質問以外を現地で対応してもらえるので安心です。
ヨーロッパ向けに出品する際に、最も留意すべきはVAT(付加価値税)でしょう。
VATは配送先の国や商品の種類によって異なり、複雑です。ヨーロッパへの出品を考える場合は、専門家に相談する事をお勧めします。また、VATは内税ですので、商品の料金表示の際に留意してください。
ヨーロッパ市場を対象にする場合、国ごとに電化製品のプラグや電圧が異なったり、マーケティングには欠かせない祝祭日が異なるなど、きめ細やかな戦略が必要です。
Amazonのアジア太平洋エリアには、日本以外にオーストラリアやシンガポール、インドがありますが、インドへの出品は、インドに会社がある場合に限られます(2021年6月現在)。
シンガポールと言えば、アジア諸国の中でも期待されている市場の一つ。シンガポール政府が「スマートエコノミーの構築」を重視しており、2021年にはeコマース市場は27億ドルを超えるという予想も出ています。
国民の60%が、月に1度はオンラインで買い物をし、中でも必需品の購入が多いことが特徴として挙げられます。
シンガポール向けにAmazonで出品する場合は、物品サービス税(GST)や付加価値税(VAT)を確認しておきましょう。
オーストラリアのAmazon.com.auは2019年、月間平均ユニーク訪問者数が前年比52%増と大幅な成長を遂げています。オーストラリア向けに出品するには、オーストラリアでセラーセントラルアカウントを登録し、オーストラリアに銀行口座を開設する必要があります。
オーストリアには「物品サービス税(GST)」という税金がありますので、要件などをしっかり確認して運営してください。
ここで、Amazonマーケットプレイスに出品するメリットを見ていきましょう。
北米のAmazonでは日本のマーケットプレイスと同様に小口出品と大口出品の2種類のプランがあります。
小口出品 | 販売1個あたり$0.99 |
大口出品 | 販売個数に関わらず月額 $39.99 |
*いずれのプランも販売手数料が必要です。(注文成約時にのみ課金)
大口出品を選ぶと、自動的にAmazon FBAのサービスを利用することができます。
ウェブデータを分析する会社Similar Webが行った2020年1月の調査によると、Amazon.comの月間ビジターは4.5億人、Amazonヨーロッパの月間ビジターは2.9億人というデータが出ています。
Amazon.co.jpの月間ビジターは8000万人で、訪れる多くの人は日本人であることは言うまでもありません。
越境ECを始めたいのであれば、世界中のお客様に商品をアピールできる「Amazonグローバルセリング」ほど適したプラットフォームはありません。
現地法人設立などの面倒な手続きは必要ありません。日本から簡単に越境ECを始めることができます。
Amazon FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)はAmazonマーケットプレイスによるサービスで、月額料金を支払うと、梱包・発送だけでなく、販売、保管、注文処理、返品、カスタマーサービスのすべてを現地のAmazonが対応してくれます。
FBAを利用するには出品サービスへの登録が必要です。
FBA海外配送プログラムでは、追加料金なしで、67以上の国や地域にビジネスを展開できます。
国内のFBAを利用しているユーザーはFBA海外発送を利用することができますが、商品の原料などの理由から、国によっては発送できない商品があるので注意が必要です。
対象としている国の規制をよく理解してから販売することをおすすめします。
購入者からAmazonが代金を受け取り、14日後に銀行口座に振り込みされます。
メリットが多いAmazon販売ですが、デメリットが全くないわけではありません。デメリットについて見ていきましょう。
同じ商品を扱う出品者が多ければ多いほど価格競争になりやすいのは万国共通です。
日本のAmazonや他の国内ECサイトに比べて競合ショップが多くなる可能性は低いですが、出品者の多い商品を選ぶのであれば、これから仕入れて販売しても利益が残るのか事前に確認しましょう。
Amazonマーケットプレイスでは、販売した各商品に販売手数料(最低販売手数料$0.30)がかかります。
販売手数料に関しての詳細はAmazon公式サイトをご覧ください。
大口出品 | 基本成約料なし |
小口出品 | 手数料 $0.99/1商品 |
Amazonフルフィルメントセンターで在庫の保管をしてもらう場合、在庫が占めるスペースに対して日割りで計算されます。詳細はAmazon公式ページをご覧ください。
英語対応の国は、アメリカだけでなく、カナダ、イギリス、オーストラリア、インド、シンガポールが対象です。
アメリカ、イギリスのような国では、隣国の非英語圏のお客様が購入する場合もあります。世界の共通語として英語で商品の説明、サポートができると、売上アップを実現しやすくなります。
Amazonに限らず海外から日本の商品を購入したい人が求めているものは、「日本でしか手に入らないもの」でしょう。
では、海外で入手しにくく、かつ人気のある商品は何なのか?
数年前の調査、「アメリカ、中国で人気の日本製品ランキング」では「食品・飲料・酒類」のカテゴリーが1位になっています。まず食品の例を見てみましょう。
日本のスナック菓子は訪日観光客に人気です。特に日本のKit Katは、酒、桜、抹茶など、日本独自のフレーバーが販売されており注目を集めています。
JETRO(日本貿易振興機構)は2019年6月、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの都市圏在住者576人を対象に、日本の食品に関するEC利用者の調査を行いました。
その中の1つの質問は日本のスナック菓子に関する質問で以下のような結果が出ています。(回答者数 408人)
購入経験があり、また買いたい | 169人 |
購入経験なし、買ってみたい | 239人 |
回答をした人のうち、購入意欲が高いのは21~30歳の年齢層だということです。
*米国におけるEC利用者実態調査 ―食品/飲料購入実態及び日本食品への反応―を参考
「アニメ」は本、DVDだけでなく様々なカテゴリーの商品があります。
animeという語を入力すると、sticker、face mask、poster、figure、shirtsなど、様々なサブカテゴリーが表示されました。いくつかのカテゴリーを組み合わせて「アニメ関連ショップ」をオープンするというアイディアもいいでしょう。
越境EC徹底ガイドの成功事例のセクションでも紹介しましたが、弁当箱は海外にはないユニークな商品です。アニメのキャラクター商品、風呂敷風のお弁当包みなどは、日本的な商品として注目されるでしょう。
上の画像の左側にLuch Boxes & Bagsというメインカテゴリーの中にBento Boxesというサブカテゴリーがあるぐらいなので確実に需要があることは分かります。
弁当箱ではありませんが卵焼き器を見つけました。219のレビューが残されており評価も高い商品です。
Amazon’s Choiceというバナーも表示されており、フライパン、キッチン用品などの商品を探している人が興味を持つ可能性もあります。
卵焼き器のページに、Frequently bought together(一緒によく買われている商品)として、Amazonが他のいくつかの商品もおすすめしています。
上の画像は卵焼き器のページに表示される関連商品で、真ん中に弁当箱があります。海外ではどうかはわかりませんが、日本では卵焼きはお弁当のおかずによく使われますよね。
このように、商品は掲載したカテゴリー以外のページで表示されることもあります。これから越境ECを始める方は、関連カテゴリーも意識して商品を選ぶと、よりページビュー数が多くなることも期待できます。
Amazonで越境ECを開始するにあたって、どのカテゴリーの商品を出品するのかは重要な選択です。どのような商品が人気なのかリサーチしてみましょう。今回は、基礎的な方法を2つご紹介します。
アニメ、弁当箱の例ですでにお見せしましたが、Amazonoのサイトで検索をする方法です。
アメリカをターゲットにしているのであれば.Amazon.comでリサーチをしましょう。他のマーケット(国)をターゲットにしているのであれば、そのサイトでリサーチを行いましょう。
Googleで検索するのと同様に検索ボックスに単語を入力すると、Amazonが自動的にサブカテゴリーを提案してくれます。
上のスクリーンショットではJapaneseと入力したところ、Amazonは以下のようなカテゴリーを提案してくれました。
興味のあるサブカテゴリーを選択して、評価の高い商品をチェックしてみましょう。
商品選定のポイントとして以下の点を考慮してみてください。
Keyword Toolは、Google、Instagram、Twitter、YouTube、Amazonなどのサイトで、ユーザーが使っている検索用語を分析できる便利なツールです。
Amazonで検索されている用語をチェックするにはAmazonのタブをクリックして、興味のある単語を入力します。
例えば、上の例で使ったbentoを入力してみます。
左側に表示されているのが人気のある検索用語です。右側は隠されていますが、Keyword Tool Proユーザー(有料版)のみが閲覧できるデータです。
有料版では、検索ボリューム、競合度に関するデータを閲覧することができます。キーワードは無料で閲覧することができ、これだけでも充分参考になります。
Eitas JapanはAmazon.comで日用品やホビー系の商品を販売しているショップです。以前はAmazon.co.jpや国内のECサイトで輸入品を販売していましたが、売上が振るわず他の販売ルートを模索していたところ輸出も始めました。
以前は数百件のオーダーを3人で対応していましたが、Amazonの受注管理機能を活用することで作業時間を短縮でき、2人のみで管理できるようになりました。
Eitas Japanのスタッフによると、越境販売の楽しみは、お客様が日本製品のクオリティの高さに喜んでくれること。そして、日本に居ながら異文化を感じられることだそうです。
越境ECを始めたい人にとってAmazonはメリットの多いプラットフォームです。独自ドメインでの運営と比べて、多くの作業を簡略化することができます、
越境ECに関する他のトピックは越境EC徹底ガイドで解説していますので、興味のある方はPrintfulのブログをぜひ参考にして下さい。
著者:Yohei Ishiguro 読了時間:4分
Yohei Ishiguroさんが2020年9月16日に投稿
Yohei Ishiguro
ヨーロッパの小さな国、ラトビアからEコマースの魅力をお伝えするコンテンツを日々作成。Webサイトのローカライズ、YouTubeの動画コンテンツへの出演、ウェビナーの開催などを通じて、海外のEC販売のトレンドをいち早くご紹介しています。
ヨーロッパの小さな国、ラトビアからEコマースの魅力をお伝えするコンテンツを日々作成。Webサイトのローカライズ、YouTubeの動画コンテンツへの出演、ウェビナーの開催などを通じて、海外のEC販売のトレンドをいち早くご紹介しています。
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読了時間:11分 2020年9月16日
著者:Yohei Ishiguro 読了時間:4分
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