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仕事で名刺、チラシ等を印刷する際、「オンデマンド印刷」「オフセット印刷」という用語を見かけたことはないでしょうか。
プリントショップ、印刷会社のサイトに行くと、これらの用語やその他の専門用語もたくさん出てきて戸惑ってしまう方も多いでしょう。
今回は「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」それぞれの仕組み、メリット、デメリットについて、初心者でも分かりやすいように解説していきます。
オンデマンド印刷は英語ではPrint On Demand (POD)と呼ばれます。demandは「需要、要求」を意味し、「必要に応じてプリントする、必要な分だけプリントできる」印刷サービスです。
ショップによって最低注文部数は異なりますが、商品によっては1枚から印刷できる場合もあり、25枚、50枚など、部数で決めることができるようになっています。
印刷できる紙の種類が多いこともオンデマンド印刷の特徴です。
オンデマンド印刷でプリントできるものは、名刺、リーフレット、ポストカード、クーポン、ポスター、アパレルなど様々です。
「オンデマンド印刷」という言葉は印刷技術に関して言及している言葉ではありません。あくまで「必要に応じて印刷できる」という意味です。
オンデマンド印刷で使われる印刷技術には2種類の方式があります。両者の特徴を見ていきましょう。
インクジェット方式(インクジェットプリンター)では、インクを紙の上に噴出、付着させることで、デジタルファイルの画像や文字を用紙の上に再現します。
インクは色の再現能力に優れていることから写真の印刷に向いています。印刷速度に関しては、レーザープリンターと比べるとインクジェットプリンターは速度が遅く時間がかかります。そして、大量印刷には向いていません。
インクジェットプリンターは比較的低価格で購入でき、本体のサイズも大きくないので家庭用のプリンターとして広く使われています。
トナー方式(レーザープリンター)では、感光ドラム(筒)の表面に静電気でトナー(顔料)を乗せて、レーザーで紙に画像を記録します。インクに比べると色を細かく再現する能力が低いため、主に文字を印刷することに適した印刷技術です。
印刷速度はインクジェットプリンターと比べると格段に速く、大量に印刷する場合はレーザープリンターが適しています。
さらに、レーザープリンターは本体のサイズが大きく価格も高めであることから、オフィスなどの用途に向いています。
オンデマンド印刷のメリットとデメリットを見ていきましょう。
まず、オンデマンド印刷のメリットです。
オンデマンド印刷は、ショップによっては数十部からオーダーできるため、必要な数だけを印刷することが可能です。
大量の部数を必要としない小規模な会社、個人事業や趣味でオーダーしたい人にはピッタリのサービスです。
オンデマンド印刷なら短期(数時間~数日)で仕上がります。時間に余裕がない人にも向いています。
通常プリントショップでは名刺、フライヤーなどの最低注文数が数百部であるケースが多くなっています。
オンデマンド印刷の場合、必要な部数だけを印刷してその分価格も低くすることができるので、特に小ロット注文の場合は無駄な出費を抑えることができます。
メリットが多いオンデマンド印刷ですが、デメリットがないわけではありません。デメリットを見てみましょう。
オンデマンド印刷では紙に直接インクを噴出させるため、にじみが出ることがあります。また、大きな画像や小さなフォントでは粗さが出てしまう場合もあります。
ただ、近年は技術の発達により、オンデマンド印刷のクオリティも高くなっています。
オンデマンド印刷では部数が多いほどコストが上がっていきます。小部数の場合はお得ですが、大量になる場合はオフセット印刷がおすすめです。
オフセット印刷は、まず版を作りそれを用紙に印刷する方法です。画像や文字の細部までが綺麗に印刷されるため、高い品質が求められる場合に向いています。
ほとんどの書籍、雑誌、新聞、チラシなどの印刷物はオフセット印刷を利用して作られており、最も一般的な印刷方法として知られています。
写真、写真集、デザイン、アートなどをできる限り現実に忠実に再現したい場合にはオフセット印刷が向いています。
名刺、チラシ、はがき、カタログなどの一般的な印刷物でも、大量に印刷する場合はオフセット印刷がおすすめです。理由はメリットの欄で説明しています。
印刷版のインキを「ブランケット」と呼ばれるゴム製のローラーにいったん移し、ブランケットから紙に転写させる方式です。
版と紙が直接触れないので版胴の消耗を最小限に抑えることができます。
印刷版からブランケットにインクを移動させる作業をOFF(オフ)と呼び、ブランケットから紙に転写する作業をSET(セット)と呼ぶことからオフセットという名前が定着しました。
印刷版は4種類の色 (CMYK) に分かれています。
C=シアン
M=マゼンタ
Y=イエロー
K=ブラック
この4色を使ってあらゆる色を再現します。
オフセット印刷のメリットとデメリットを見ていきましょう。
オフセット印刷のメリットです。
「仕組み・工程」の箇所で説明したように、版と紙が直接触れないので版胴が消耗せずに、部数が多くても印刷の質を維持することができます。
オフセット印刷は版制作に費用がかかり、オンデマンド印刷に比べるとその分コストが高くなります。
しかし、部数が多くなるにつれて単価は低くなりますので、大部数で高い品質が必要な場合はオフセット印刷がおすすめです。
ショップにもよりますが、100部以上であればオフセット印刷でも相応の価格で注文をすることができるかもしれません。
オフセット印刷のデメリットを見ていきます。
オフセット印刷では1部でも1,000部でも版を作る必要があるため、部数が少なくても版制作のコストがかかり、その分単価も高くなります。
両者の基本について見てきましたが、主な違いをもう一度簡単に復習してみましょう。
どちらの方式で印刷するかは、使用目的、クオリティ、予算などを考慮して決めましょう。
展覧会のカタログ、写真、本、マンガなど、写真やイラストのクオリティを重視したいのであればオフセット印刷がおすすめです。
名刺、チラシ、ハガキなどは大量部数であればコスト、クオリティ、どちらの点においてもオフセット印刷がおすすめです。小部数であればコストパフォーマンスに優れているオンデマンド印刷が最適でしょう。
オンデマンド印刷で商品販売をする場合のメリット・デメリットの詳細はYouTubeの特集動画もぜひあわせてご確認ください。
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Yohei Ishiguro
ヨーロッパの小さな国、ラトビアからEコマースの魅力をお伝えするコンテンツを日々作成。Webサイトのローカライズ、YouTubeの動画コンテンツへの出演、ウェビナーの開催などを通じて、海外のEC販売のトレンドをいち早くご紹介しています。
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