ブログ / マーケティング基礎知識 / ECのエキスパート7人に聞く!2021年最新ECトレンド I Printful
コロナ禍で激動となった2020年。人々の消費行動のデジタルシフトが進む中、今までオンライン化していなかった中小企業や小売業者のEC化が急加速しました。
在宅勤務をはじめとした新しい生活様式に順応しなければならなくなった中、消費者が求めるニーズに沿った最新ECトレンドはどうなっているのでしょうか?
ECに詳しい有識者である、川添 隆さん / ECエバンジェリスト、徳田 祐希さん / 世界へボカン株式会社 代表取締役、遠藤 聡さん / iBound代表、中林 慎太郎さん / フランツ株式会社 EC事業部、齋藤 浩喜さん / 株式会社Grow (BODYBOSS JAPAN)代表取締役、久保 京子さん / 株式会社フィデス 代表取締役社長、吉見 紳太朗さん / ECのミカタ メディアマーケティング部 の7名に、今最も気になる6つの質問にご回答いただきました。
ECで成功するためには正しい知識と正しい努力が不可欠。ECエキスパートらが予測する、2021年最新ECトレンドと今後小売業が直面するであろう問題。そして適応するための戦略とは?
質問:2020年は新型コロナウイルスによってEC業界に大きな変化がもたらされ、今後もトレンドの移り変わりが予想されます。その中で、2021年の最も顕著なECトレンドとしてどのようなものが挙げられるでしょうか?あなたのご意見をお聞かせください。
ECエバンジェリスト
川添さん
ECエバンジェリスト 川添さん:「オンライン接客」でしょう。これまでのECはインタラクティブかつリアルタイムな接客を提供できていませんでしたが、コロナ禍で活発になったチャット接客やライブ配信、ビデオ接客によって、接客という観点でECが提供できるサービスが実店舗でのサービスにより近づいたと捉えています。オンラインとオフラインのサービスにおける全体的な(コールセンターや物流も含めた)UXを高めることができるかどうかで企業の生き残りが問われています。
更に詳しくは川添さんのnote記事をご参照ください。
“ インタラクティブかつリアルタイムな「オンライン接客」
世界へボカン株式会社
徳田さん
世界へボカン株式会社 徳田さん:私が日本企業の海外進出の支援を生業としているという部分もあるかもしれませんが、日本企業の海外進出のニーズはより高まると予想されます。大きな理由は2つです。
⑴ コロナを経験し、海外販路の拡大の必要性を感じたから
コロナ禍での経験を通してこれまでECサイトを持っていなかった企業がECを始め、ECを展開していた企業が海外に販路を拡大し始めました。2020年は国や地方の助成金も後押しもあり、多くの企業が越境ECに参入しましたが、2021年も引き続き越境ECがトレンドになると考えています。
⑵ コロナを経験し、BtoB企業もウェブを活用した販路拡大の必要性を感じたから
2020年はBtoB企業の多くがウェブを活用した販路拡大の必要性を感じた年でした。日本の製造業で海外売上比率の高い企業でもウェブを活用してリードを獲得している企業は多くありません。全世界が強制的にテレワークになり、顧客の情報収集方法がウェブにシフトしているのに対し、企業側がウェブにシフトできず、機会損失してしまっている事象が多く発生しています。2021年も、良質なリードを獲得する海外向けウェブサイトの構築や汎用品を購入可能なBtoB ECのニーズは高まる事は間違いありません。
“ 2021年は越境ECがトレンドになる!
WEBマスターの手帳
遠藤さん
WEBマスターの手帳 遠藤さん:ライブコマースに注目をしています。2020年は、幸か不幸か新型コロナウィルスの影響で、様々な場面でオンライン化が進みました。その1つとして「ライブ配信」も増加したように思います。YouTubeライブやInstagramライブなど、SNSを使ったライブ配信が当たり前になりました。
このライブ配信はECにおいてまだまだ新しい手段ですが、ライブ配信によって顧客やファンとリアルタイムにコミュニケーションを取りながら商品を販売する「ライブコマース」は間違いなく有効な手段です。
2021年、5Gの流れとともにECにおけるライブ配信である「ライブコマース」が当たり前になっていくでしょう。
“ 「ライブコマース」が当たり前になっていく
フランツ株式会社
中林さん
フランツ株式会社 中林さん:ECのトレンド・商売のトレンド・B2Cのトレンド自体は変化しているものの、やはり人の欲求等という根本的な部分の変化は大きく動く事はありません。リアルの世界で当たり前の様にやっているモデル(商売の形)をどうIT化するのか、という部分がどの時代でも一番重要です。
ユーザー目線では、ECの利用はなくてもスマートフォンを持ち、LINE・Twitter・Facebook・Instagramでコミュニケーションを既に取っている。大きな変革は実はもう起こっていて、後はどの様にどこからどういう流れを作るのか。リアルのビジネスだけではなかなか実現できない部分の「6W1H」:「いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・誰に・どのように」をITによってシームレスにする事・ユーザーの購買行動を自由にする事が一番大事な部分だと思っています。
ECに関しては、時代の最先端ではなく、ハイプサイクルでいう幻滅期に各種技術やサービスをどう見るかだと考えています。理由としては、最先端でそうこうしてもユーザビリティーが非常に悪く、お客様が混乱する可能性がある為です。また、Zendesk(ゼンデスク)の様なコミュニケーションを円滑にする様なサービスやバックヤード系のサービスがECでも注目されても良い頃合いと思っています。
“ 「6W1H」(いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・誰に・どのように)をITによってシームレス化する
株式会社Grow
(BODYBOSS JAPAN)
齋藤さん
株式会社Grow (BODYBOSS JAPAN) 齋藤さん:確実に言えるのが、自社ECサイトがD2C、飲食店、大手、プラットフォーム以外の販路などジャンル問わず激増するということですね。
コロナウイルスの影響で小売業は嫌でもECサイトをつくらなければ生き残れない状態になっています。2020年はその影響もあって元々ECをやっていた事業者は売り上げを伸ばしましたが、今後は参入が増えるので競争が激しくなると思います。
自社ECにはウェブ広告が必須なので、それに伴ってウェブ広告市場も拡大しさらにマス化が進みます。
2つ目は、YouTube×ECですね。最近はECサイトでも動画を活用する事例が増えていますし、ShopifyもYouTubeと連携することを発表しています。先駆けとしてInstagramからの直接購入機能のShopNowなどがありますが、さらに進むと思っています。
むしろ、1ショップ1YouTubeチャンネルが普通の時代がくると思います。単純に考えて、文字とテキストだけよりも動画やGifを活用した方が伝えられる情報量も多いですし、ショップに対する信頼度も上がるので使わない手はないですね。
“ 1ショップ1YouTubeチャンネルが普通の時代がくる
株式会社フィデス
久保さん
“ 「おうち時間」を豊かにするサービスが伸びる
ECのミカタ
メディアマーケティング部
吉見さん
ECのミカタ メディアマーケティング部 吉見さん:これまでも、SNSを活用してECサイトで商品が購入されることはありましたが、2021年はより加速することが予想できます。SNS側の仕様も改善され、SNSからECに飛び、そこで商品を購入することがより簡単にできるようになるのではないでしょうか。また、新型コロナウイルスの影響により対面での接触を避けるようになるため、実店舗での購入方法や決済手段など、これまで進まなかったことが非接触により進むと考えられます。
“ SNSからECでの購入がそれぞれのSNSでシームレスになる
質問:2021年以降、小売業界はどのようにしてビジネスモデルを変化させていくでしょうか?その中でEコマースはどのような役割を担っていくと考えられますか?
ECエバンジェリスト
川添さん
川添さん:コロナ禍によって、小売業のビジネス変革の早期化が突きつけられました。また、実店舗メインとの企業は「実店舗や店舗スタッフの存在意義」を問われました。それぞれのチャネルや人の役割を問い直し、ビジネスモデルを変革する企業が増えるでしょう。その中で、ECは単にオンラインで売る場から、店舗、SNS、アプリ、メディアなど様々なチャネルを包括する場としての役割を担うでしょう。
また、企業がマーケティング活動のためにデータを取得していくだけのECではなくて、データを上質な顧客体験に転換しそれを循環させるための役割を担っていくと思います。いずれにしても、自社のECでありモール内のECであっても社内のECに置ける比重を強化し、デジタル部門や人材への投資をし、全社の事業に影響を及ぼす仕組みを作っていく必要があります。スマートフォンが登場して以降、顧客が商品を知る、選ぶ、買う(決済)、受け取るというそれぞれの時間がバラバラになっています。そういった「時間軸のずれ」を前提として、顧客軸で商売を再構築していくことです。それを繋いていけるのがECの役割です。
“ これからのECは、店舗、SNS、アプリ、メディアなど様々なチャネルを包括する場としての役割を担っていく
WEBマスターの手帳
遠藤さん
遠藤さん:新型コロナウィルスの影響によって、オフラインだけでは生き残れない状況が強まりました。2021年、オフラインがなくなることいはないと思いますが、オンラインとのハイブリッド化は避けられないでしょう。オンラインで商品を販売するECは、オフラインを補佐する役割から、オフラインと同等にビジネスを支える大きな柱の1つになっていくと思います。
フランツ株式会社
中林さん
中林さん:D2Cの波は避けられない形になると思います。価格競争は激化していくでしょうし、モールの中でオリジナル商材以外が戦う事がどんどん困難になって来るとは思います。そこでやはりSNS等のファンマーケティングを今一度強化し、そこへ投資する会社が未来を着実に進んでいくと私は考えて行きます。また、Eコマースの役割としては、こんな時代なので非接触と言う事もあげられますが、ITソリューションにより人の時間の開放・生活をより自由に・豊かにすること。今後よりそういう役割を担う一つのツールになると思います。
“ ITソリューションにより時間の開放・生活をより自由に、豊かにすること
株式会社Grow
(BODYBOSS JAPAN)
齋藤さん
斎藤さん:Eコマースでの販売が主戦場となり、それを補填する形で店舗販売やポップアップなどを行う企業やブランドが増えると思います。もちろんジャンルにもよって変わりますが、単純にECサイトで販売したり、購入した方が合理的な商品が増えてきた。それくらい当たり前になってきたということがあります。
かといって店舗がなくなる訳ではないでしょう。もちろんコロナ禍に置いては厳しい状況がしばらく強いられるでしょうが、もしこの状況が落ち着いたら、店舗にきてブランドの接客を受けたお客さんの方がファン化する確率がECよりも高いというのが店舗の強みであり特性なので、それを活かすブランドは確実に出てくると思います。海外のD2Cブランドでもそのような事例は既に多く出ています。
“ Eコマースでの販売が主戦場、店舗はファンを獲得する場へ。
株式会社フィデス
久保さん
久保さん:コロナ禍での「新しい生活様式」において、ECは販売購入形態の1ジャンルとして不可欠のものとなるでしょう。
総務省の家計調査によると、コロナ禍前は最高でも45%だったネットショッピングの利用世帯の割合が、昨年5月以降、5割を越えてきました。コロナ収束後も利用意向が低下することはないと予測されています。そういう意味で、ECは消費者にとって単なる購入チャネルではなく、購入前の情報提供、購入、利用、メンテナンス、廃棄といった消費サイクルのすべてのニーズに応えてくれるチャネルとしての進化が求められます。
ECのミカタ
メディアマーケティング部
吉見さん
吉見さん:新型コロナウイルスの影響により、対面での接客に大きな影響が出ています。例えば、現金決済は顧客と店員が接触するためキャッシュレス決済などの「非接触」の決済手段が利用されるようになっています。そのため、小売業は非接触決済の導入を進める必要があります。また、店舗での接客が行えなくなるため、ウィンドウショッピングや、店舗での購入方法にも変化が起こります。これまでもトレンドになっていた、「店舗で商品を確認してECで商品を購入する」動きが加速していくと思います。そのほか、店頭で働けなくなったスタッフの方が、ライブコマースなどを活用して、オンライン上でお客様に接客する取り組みが加速すると思われます。
質問:ECサイトへの移行またはEC事業の拡大を考える小売業が直面する問題点とは何でしょうか?また、どのような方法で問題解決が出来るでしょうか?
ECエバンジェリスト
川添さん
川添さん:実店舗メインの小売業はEC事業になかなかフィットできず、ECに特化するチームが強化できないでいたり、既存事業とデジタル領域が水と油になっている課題が根強くあります。コロナ禍によって経営陣はデジタルやECの必要性を以前よりも理解していますが、現場との温度差があります。今後より一層、デジタルへの投資と人材への投資や育成が急務になります。すでに日本ではデジタル人材が不足状況なので、強い者・早い者勝ちになる可能性が高まっています。コロナ禍という崖っぷちな状況を背に、全社・部門間での意識と事業の改革が進むことを願っています。
“ デジタルへの投資と人材への投資や育成が急務
世界へボカン株式会社
徳田さん
徳田さん:多くの小売業が直面する問題点は、ECをやることが目的化してしまい、結果がついてこない事です。
店舗への来店数の減少に伴い、2020年に多くの企業がECサイトを立ち上げました。ECの総数自体は増えていますが、ただECを立ち上げただけでは、売上はおろか集客も見込めない、ただ自社の商品を陳列したサイトが生まれてしまいます。
自社製品を販売するチャネルの一つとしてECを立ち上げる事は重要ですが、
・顧客はどういった人なのか?
・何故、顧客は貴社から商品を購入するのか?
・どういった集客チャネルから顧客がECサイトに訪れるのか?
・貴社サイトに訪れるユーザーはどういった心理状況で何を期待しているのか?
という問いに答えられる企業は多くありません。
解決策として、ECを運営するにあたり、ECをどのように活用していくか戦略を立てること、集客・接客施策を着実に実行していくことが求められます。例えば、アパレル店舗で顧客の来店頻度が減ってしまっている場合、お客様が来店したタイミングに強力なLINE@やメール会員登録オファーを実施する事で、店舗からECへ引き上げる事ができるようになります。
“ ECサイト立ち上げを目的とせず、EC活用の戦略を立て、集客・接客施策を着実に実行する
WEBマスターの手帳
遠藤さん
遠藤さん:ASPが普及して、誰でも簡単にネットショップを開設することができるようになりました。そのため、オンラインで商品を販売する場所を用意することは問題になりません。
しかし、実店舗同様にお店を開けたからといって、お客さんが来てくれるわけではありません。お客さんが来てくれなければ、当然、商品が売れることもありません。
小売業が直面する問題は「集客」です。コロナ禍前からECでは、激しい競争が行われています。そこに乗り込んでいくわけです。実店舗であれば、商圏は店舗がある地域ですが、ECでは全世界が商圏です。それは大きな可能性がある一方で、全世界に競合がいるということになります。ECであっても実店舗とやるべきことは同じです。ECへの妄想的な期待を持たずに、実店舗同様に、集客に時間と労力をかけて取り組む。そのときにオンラインに合わせた集客を意識していくことで小売業でも十分に生き残っていくことができます。
“ 実店舗同様に、集客に時間と労力をかけて取り組む
フランツ株式会社
中林さん
中林さん:未だにある、ECに出たら自動販売機という幻想にまずは直面すると思います。今のECは原価率が低く、自走できる仕組みを最初から構えていればもしかしたら簡単かもしれませんが、なかなかそうはいきません。作るという点だけを見るとリアルの実店舗よりも簡単ですが、スマートフォンが台頭しそれでもPCはなくなる事がなく、広告は高騰し、新しい情報が入って来ては消え目まぐるしく変わります。ノウハウが無いとコスパが非常に悪くなります。
リアルですと半径何メートルという場所にある同業者が競合になりますが、ECだと全国、はたまた全世界の同業者が競合になるので。その部分も認識しておくべき点と考えます。
“ ECの競合は全世界の同業者であることを認識する
株式会社Grow
(BODYBOSS JAPAN)
齋藤さん
斎藤さん:既存の小売事業者やブランドが抱える課題は、これまでのBtoBの商流変更や既存販売店での取り扱いをどうするか、取引先との関係をどうするかなどが上げられると思います。
初めからECメインで販売しているブランドには関係ないと思いますが、BtoB販売(店舗に卸す)というのは販路が広がって売り上げと認知が上がる一方で利益率が悪いという一面があります。価格競争や顧客との接点が大切と言われる世の中で、これを続けるのかやめるのかというのは、大きな問題になると思います。
株式会社フィデス
久保さん
久保さん:Webでの情報提供、オンライン接客、オンラインサポートの質が求められるでしょう。例えば、オンラインサポートではコロナ禍の影響でチャットボットツールの導入が進んでいますが、まだまだ活用しきれているとは言えない状況です。また、顧客接点ごとに顧客の購買・消費行動に寄り添う対応を行うための顧客分析が重要となると思います。
“ 顧客の購買・消費行動に寄り添うための顧客分析が重要
ECのミカタ
メディアマーケティング部
吉見さん
吉見さん:特に実店舗のみを経営していたEC未経験事業者がECへ移行する場合が問題です。ECはさまざまな販売ツールが開発され、参入自体のハードルは低いのですが、その分レッドオーシャン化しています。販売や集客手法、店舗の見せ方など考えなければいけないことが多岐にわたり結果につながらないケースが多くあります。①自社を詳細に自己分析した上で、②変化が早い市場の動向を確認しつつ、③モニタリング等で顧客の理解を常に行っていくこと、が成功の糸口となります。
質問:今後、オンライン買い物客のプロフィールや購買行動に何か変化は見られるでしょうか?(例:若年層がオンライン買い物客の大多数を占め続ける、世代間によるオンライン買い物客層のギャップが小さくなる、その他性別や地域ごとで見られる購買行動の変化など)
ECエバンジェリスト
川添さん
川添さん:コロナ禍で「初めてECで買い物をするという人」が増えたと複数のEC企業から聞きました。もちろん、ECを使っていた人はさらに使うようになったでしょうが、大きな変化としては「0」が「1」になった感じです。例えば、ファッションの領域において、アラウンド20の年代はECで見て店舗で実物確認をした上で購入するような慎重派が多いと聞いていましたが、そういった人たちもコロナ禍ではECで購入する行動をとったと聞いています。ただし、全体感では年代差で大きな変化というのはあまり無いように思います。元々、ECの利用率は東京の方が地方より高い傾向にあり、コロナ禍の感染拡大と共に、東京の利用率はさらに高まっていると考えています。
WEBマスターの手帳
遠藤さん
遠藤さん:ネットショップで買い物をすることが、もっと一般化していくように思います。まだまだ高齢の方は、オンラインでの買い物に抵抗があったり、買い方がわからないといった理由からECの利用は、少ないです。
ですが、スマートフォンの普及やコロナ禍における強制的なオンライン化によって、ネットでものを買うことが、今まで以上に身近になってきています。そして、ネットで買い物ができないことで損をするようになってきています。
「ネットで物を買う」ことが、誰にとっても「日常」になっていくと思います。
“「ネットで物を買う」ことが、誰にとっても「日常」になっていく
株式会社Grow
(BODYBOSS JAPAN)
齋藤さん
齋藤さん: メイン販路としての自社ECサイトが増えてくる。自社サイトへの顧客の取り込み、すなわち会員情報を獲得して、お客様と繋がり、ブランド体験をしてもらう方向に進むと思います。自社サイトであれば、プラットームに比べてお得情報などタイムリーに伝えられたり、カスタマーサポートも自社のやり方に沿ったやり方で手厚くできます。アマゾンや楽天のようなプラットフォーム利用は消耗品などは(商材にもよりますが)今後も認知拡大のための手段として使われていきます。
“ 自社ECサイト利用が増え、アマゾンや楽天のようなプラットフォームとの併用が見られる
株式会社フィデス
久保さん
久保さん:コロナ禍でネット購入が拡大していますが、現状では、自社サイトよりモールから購入する消費者が多いようです。
消費者庁の昨年10月の物価モニター調査によると、1年前より「メーカー等の自社サイト購入」が増えた人は25%、「デジタル・プラットフォーム(オンライン・ショッピングモール)購入」が増えた人は39%。いずれも、女性の方が男性より「増えた」とする回答割合が高い傾向となっていました。年代別では、「自社サイト購入」が増えた割合は20歳代と70歳代以上が低く、「デジタル・プラットフォーム購入」が増えた割合は、年代が若いほど高い傾向となっていました。
また、ここ1か月間で最も使っているネット購入方法として、デジタル・プラットフォームを利用した購入を選ぶ人が6割となっており、デジタル・プラットフォームは、新たな日常における社会インフラとしての重要性がこれまで以上に増していると言えるでしょう。
ネット通販利用のすそ野が広がり、ネット通販に不慣れな消費者がネガティブな経験やトラブルに遭うケースも見られると思います。
ECのミカタ
メディアマーケティング部
吉見さん
吉見さん:外出自粛によりECの需要が高まり、直接モールや独自ドメイン(自社サイト)に訪れて購入する選択肢以外にも、SNSショッピングやライブコマースの発展にみられるよう購入経路の広がりが加速しています。また、今回の新型コロナをきっかけに、今まであまりECになじみがなかった高年齢層のEC利用が広まることが予想されます。
“ コロナをきっかけに高年齢層のEC利用が広まる
質問:Eコマースに対して消費者が期待することや求めるものは変わるでしょうか?(例:サービスの質、配送のスピード、返品ポリシーなど)
ECエバンジェリスト
川添さん
川添さん:日本は低価格帯~中価格帯であってもモノやサービスの質が高いと捉えています。中でも特にサービスの質に対する期待が高いのではないでしょうか。配送は間違いなく世界トップクラスですし、返品やコールセンターでの対応なども品質が求められます。コロナ禍では「置き配」のニーズが高まりましたが、ECのサービスの進化が早まったとも言えるのではないでしょうか。先にお話しした、オンライン接客、特に購買中の「チャットやライブでの商品説明、お客様への提案」を体験した消費者は、他のサイトにも求めるようになると思われます。
世界へボカン株式会社
徳田さん
徳田さん:店舗来店頻度が減り、これまで店舗での接客を通して商品を選んでいた顧客はオンライン接客を求めていると考えています。アパレルでいうと、サイズ感、素材感、機能性、商品の開発背景、他製品や自身の手持ちのアイテムとのコーディネート等、店舗スタッフであればできたことがECサイトのコンテンツだけでは対応が難しいです。こういった時にオンライン接客を活用する事は、上記のような情報を摂取したい顧客としても顧客理解を深めたい事業サイドとしてもメリットがあるのではないかと考えています。
例えば、D2CブランドのALL YOURSはオンライン接客を積極的に実施し、成功している企業の1つです。彼らは既存のスケジュールアプリとZoomを駆使し、オンライン接客をする事でコロナ禍に顧客と接点を持つことに成功しました。
参考:ALL YOURS木村さんに聞く、コロナ禍を生き抜くオンライン接客とは?
WEBマスターの手帳
遠藤さん
遠藤さん:今まで以上に「商品を知りたい」というニーズが強くなると考えています。ECでは、実際に実物を手にすることができません。だからこそ、その商品が「どんな商品なのか」がわかることが重要です。
ECが、当たり前になっていくには「実物を手にする」のと同様の体験が必要です。幸いなことに、5Gのスタートなど、オンラインで情報を伝える環境は日々、充実をしています。伝える手段も、テキスト、写真、動画など選択肢があります。
今後は、サービスの質や配送の質だけでなく、実店舗に近い顧客体験がいっそう求められるでしょう。
“ オンライン接客でより実店舗に近い顧客体験を
株式会社Grow
(BODYBOSS JAPAN)
齋藤さん
齋藤さん:引き続き、Amazonの影響で配送スピードには敏感な人は増えると思いますが、その一方で購買体験も多様化してきていますので、(梱包が丁寧だったり購入後フォローがしっかりしていたり)それを求めて自社ECサイトから購入するお客さんも増えると思います。
株式会社フィデス
久保さん
久保さん:ネット通販に不慣れな消費者でも、安心して利用できるための配慮がさらに重要になります。返品・解約の条件の記載も含め、ネット通販初心者にも分かりやすい商品や取引条件についての情報提供が求められると思います。これまでの利用者においても、時間や場所の制約がない、価格優位性というECの強みに留まらず、購入体験の総合的な質の向上が求められるでしょう。
“ ネット通販初心者への丁寧な対応
ECのミカタ
メディアマーケティング部
吉見さん:店頭からECに購買行動が変化していく中で、店頭同様のおもてなし接客やカスタマーサポートなど、顧客と密なリレーションを築くことが求められてきています。
質問:2021年以降、オンラインマーケティングのチャネルや戦略として注目されるものは何でしょうか?
ECエバンジェリスト
川添さん
川添さん:ライブコマース、ライブ配信です。海外ではライブ配信~コンバージョンまで一体になっているケースが多いようですが、日本では「接客のチャネル拡張」という位置づけで、急速な需要の伸びが期待されます。インタラクティブ(双方向コミュニケーション)性がありお客様との接点、距離感が近いということが大事です。これまでYouTuberがジャップカットのような独自手法を編み出したように、今後企業における動画配信のニュースタンダードが出てくるでしょう。既に研究している企業は抜きんでることができ、乗り遅れる企業との差が益々広がっていくでしょう。
WEBマスターの手帳
遠藤さん
遠藤さん:やはり「ライブコマース」です。リアルタイムでコミュニケーションが取れるライブ配信は、実店舗に近い体験といえます。商品について、お店の人に質問をして確認をすることができる。お店の人と会話をしながら買い物をすることができる。テキストや写真、動画では伝えられないことが、ライブ配信では伝えることができます。
すでにライブコマースに取り組んでいる会社もありますが、まだまだ先進的な手段です。2021年以降、5Gの広まりとともに、ライブコマースにも注目されると期待をしています。
“ ライブコマースやライブ配信
フランツ株式会社
中林さん
中林さん:カスタマー・SNS(ファンマーケティング)等を含めたコミュニケーションの部分が重要になってくると思います。今後、コミュニケーションがデジタル化する事により、より企業としてファンと共にブランドや商品を育てていく必要があると考えています。また、ビジネス観点でオンオフを切り分けるのではなく、企業にとってどの様な形でリアルとバーチャルの世界の境目を無くすかと言う事も重要なポイントだと思っています。
注目という意味では、弊社のビジネスモデルがギフトと言う事もあり、2021年に至っては非接触の環境下での家族や有人などへのプチギフトが前年よりもさらに大きくなっていくと考えています。Amazonの欲しい物リスト等を筆頭に、相手の住所を知らなくても送れるツール等、そういった気軽にSNS等で送りあえるギフトが急成長すると思っています。外出が制限されSNSに触れる時間が伸びているため、そういうサービスが徐々に大きくなってきていると実感しています。また、ここに関してはSNSを駆使して送りあっている若年層のギフトの需要が高まっているように感じます。そういった意味でも、ECでなかなか獲得できないとよく言われる若年層向けにギフトというジャンルは今までにない大きな潮流なのではないかと考えています。
“ SNS等で送りあえるギフトが急成長する
株式会社Grow
(BODYBOSS JAPAN)
齋藤さん
齋藤さん:YouTube、動画、LIVE、インフルエンサーが物販を始めるなど主に動画を活用する事例が増えると思います。商品画像の代わりに動画を活用する例も増えてくるでしょう。
株式会社フィデス
久保さん
久保さん:サブスクリプションサービスに引き続き注目しています。
映像や音楽のネット配信のサブスクサービスは既に浸透してきましたが、家具や家電、アパレルといった耐久消費財、消費財のサブスクサービスについても次々と大手の参入の動きもあります。コロナ禍で人々の生活スタイルや意識にも大きな変化が生まれました。そういう意味で、所有しない購入スタイルのこれからが興味深いです。
“ モノを所有しないサブスクリプションサービスに注目
ECのミカタ
メディアマーケティング部
吉見さん:特に食品ECは大きな変化があると思います。ネットスーパーやレシピサイトのEC化など、食品をECで購入するチャネルがこれまで以上に広がっています。また、昨年注目を集めたShopifyなどのカートシステムの変化にも注目です。バックエンドとフロントエンドを切り分けたヘッドレスコマースが浸透することによって、これまでは実現出来なかったECでの売り方が実現することになります
“ 食品をECで購入するチャネル、Shopifyなどのカートシステムの変化に注目
今回の7名のエキスパートへのインタビューでは、共通する7つの重要なキーワードがありました。今後のECの在り方を考える上での軸として念頭に置いておくべきでしょう。
・ライブコマース、オンライン接客の拡大
・実店舗とECの融合
・EC化の急増による競争の激化
・EC運営ノウハウの需要の拡大
・自社ECの拡大
・オンラインでの新しい顧客層(ネット通販初心者)へのサポート
・ファンマーケティングの強化
今回、複数のエキスパートが揃って提言していたのが、オンライン接客。
ECでも実店舗と同様に購買体験を消費者に提供し、顧客が抱える不安・疑問点を理解して解消するサポートが必須ということ。2020年、各業界が新たにECに参入しています。レッドオーシャンで生き抜くために、まずは徹底した自社分析、顧客分析がますます必要となってくるでしょう。
今回は、ECについての最新のニュースやトレンドなどの情報を積極的に発信している「今最も影響力のあるECのスペシャリスト7名にインタビューさせていただきました。以下にご協力いただいたエキスパートの方々のプロフィールを掲載しております。
ECに興味のある方はぜひSNSや書籍から最新情報を入手し、ECのテクニックを身に着けましょう!
川添 隆
ECエバンジェリスト
1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。全国のEC担当者を応援し、ECビジネスの可能性を伝えるECエバンジェリスト。企業再生を2社経験し、EC売上2倍以上に携わったのは5社。
小売企業(モノ・スイーツ)、大手メディア、B2Bスタートアップ、D2Cブランドへ小売✕デジタルやEC領域のアドバイザーに従事。
著書に[「実店舗+EC」戦略、成功の法則~ECエバンジェリストが7人のプロに聞く~] がある。
WEBサイト https://evanh.jp/
徳田 祐希
世界へボカン株式会社 代表取締役
海外WEBマーケティングを行う会社の取締役を経て、28歳の時に世界へボカン株式会社を起業する。日本の魅力を世界へ伝えるというミッションの元、13年にわたり、日本企業の海外進出の支援を行う。YouTubeで100本以上のマーケティングナレッジを配信中。
Shopifyマーケティングエキスパート。
WEBサイト https://www.s-bokan.com/
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCHlBxIa5MrBIkL03XZTNEwA
Twitter https://twitter.com/yukimeru0305
遠藤 聡
iBound 代表
Webサイト制作やソーシャルメディア マーケティング会社を経て、独立。現在はフリーランスとして、企業のWeb担当者やネットショップ担当者の業務代行・ 業務支援を行う。「WEBマスターの手帳」というウェブメディアを運営中。技術評論社より「1時間でわかるSEO対策」も出版している。
WEBマスターの手帳 https://homepage-reborn.com/
WEBサイト https://satoshiendo.com/
Twitter https://twitter.com/Satoshi_Endo_jp
YouTube https://www.youtube.com/user/TheIBound
中林 慎太郎
フランツ株式会社 EC事業部
1981年三重県生まれ、台湾育ち、神戸在住。東京都内ウェブ制作会社にて芸能プロダクション・テレビ局等のサイトの制作やFlashコンテンツ制作を中心としたウェブサイト構築の経験。その後フリーランスとしてウェブのデザインや制作を手掛ける。その後帰神し、神戸フランツに入社。1年後にECの運営を全て任され、その1年後にはバラバラで運営していたデザイン部門とカスタマー部門を統括しEC事業部責任者となり、現在に至る。
WEBサイト https://www.frantz.co.jp/
齋藤 浩喜
株式会社Grow(BODYBOSS JAPAN) 代表取締役 ホームフィットネスブランド BODYBOSS
ニューウィンタースポーツ snowfeet
革新的サーフィンガジェット Boostsurfing
などスポーツ&フィットネスジャンルのブランドを多数運営。
自社ECを活用したDtoCブランド運営についてYoutubeチャンネルでも発信しています。https://www.youtube.com/channel/UCRaGDEdgrAd8-61zJAWgh4g
Twitter https://twitter.com/Rockysaito36
久保 京子
株式会社フィデス 代表取締役社長
花王(株)調査部にて家庭用消費財におけるマーケティングリサーチ、サンウェーブ工業(株)にて、キッチン、洗面空間の提案営業、商品企画、販売戦略立案に携わる。
98年、Webマーケティング会社創業を経て、07年、消費生活アドバイザーとして、(財)日本産業協会にて経産省委託事業「特定商取引法電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、09年、(株)フィデスを設立。
ネット通販向け法令順守の広告戦略、顧客対応コンサルティングを手がける。広告の受け手である一般消費者目線を重視し、法令順守のその先を目指す顧客満足度向上、お客様との信頼関係を築くコミュニケーションをサポートしている。
ネットショップのCSを高める情報発信中!
『ネットショップCS情報局』 http://blog.fides-cd.co.jp
吉見 紳太朗
ECのミカタ メディアマーケティング部
新卒でECのミカタ株式会社(現、MIKATA株式会社)に入社。入社後、営業を経験してからメディア編集部を経てメディアマーケティング部所属。小学校から続いているサッカーが生き甲斐。
WEBサイト https://ecnomikata.com/
著者:Ilze Folkmane 読了時間:11分
著者:Yohei Ishiguro 読了時間:15分
著者:Yohei Ishiguro 読了時間:9分
著者:Yohei Ishiguro 読了時間:6分
著者:Yukari Kato 読了時間:13分
著者:Yukari Kato 読了時間:10分
Yohei Ishiguroさんが2021年2月12日に投稿
Yohei Ishiguro
ヨーロッパの小さな国、ラトビアからEコマースの魅力をお伝えするコンテンツを日々作成。Webサイトのローカライズ、YouTubeの動画コンテンツへの出演、ウェビナーの開催などを通じて、海外のEC販売のトレンドをいち早くご紹介しています。
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読了時間:25分 2021年2月12日
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