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今回は、イラストレーションに情熱を傾けるグラフィック デザイナー、ニック・エイブラムスさんのアパレルショップStomaStoma(ストーマストーマ)をご紹介。そして、このStomaStomaの主役となるのが、彼が最も愛する妻のダーレーンさんと、4歳の息子のオーウェン君です。
StomaStomaは、力強いメッセージと楽しいイラストをあしらったTシャツやベビー服を提供するオンラインアパレルショップです。でも、このお店が他のショップとは異なるのは、どのデザインにも独特のタッチがある点。誰もが「え?」と目に留めるような、すぐには認識できないデザインです。
このユニークな商品の裏側にあるストーリーを、今回はご紹介します。
「私は2013年からフリーランスのグラフィックデザイナーとして働き始めました。息子のオーウェンが生まれたのもその頃です。オーウェンは24週で未熟児として生まれ、体重は約540グラムしかありませんでした。生まれた時から、彼の前には本当に長い道のりが立ちはだかっていたのです。」
未熟児のため、出生後も退院せずに新生児室で処置を受けていたオーウェン君。ニックさんは毎日病院に通う中、あるものに目を留めました。
それは、長期の入院中の患者の家族が着ていた感動的なメッセージの入ったTシャツです。ニックさんは、同じTシャツを着用することで絆を深めているように見える家族を目の当たりにし、自分でも特別なメッセージを込めた商品をデザインしてみようと決意しました。
「Keep Fighting(戦い続けよう)と書かれたシャツを作ってみました。すると、このメッセージの効果で私たちにの周りに人々が集まり、支援グループができるほどになったのです。これが私たちとPrintfulとの最初の出会いです。」
ニックさんと妻のダーレーンさん
エイブラムス夫妻は家族や友人たちに、自分達のTシャツのことを話しました。 驚いたことに、多くの人たちがそれらを購入してくれたと言います。
「家族や友人に、私たちのTシャツを着た写真を送ってもらいました。それらの写真を使って、時間をかけてNICU(小児集中治療室)のオーウェンの部屋にコラージュを作成しました。」
Tシャツは誰でも着られる普遍的なもの。それにオリジナルのメッセージを追加することで、自分たちのストーリーを伝えることができる、とニックさんは語ります。
「オリジナルのTシャツを作るアイデアは私たちにぴったりでした。」
オーウェン君は、退院して家に帰るまでに集中治療室で5か月間を過ごしました。しかし、その後すぐに少し風邪をひいて、再び小児病院に戻りました。当時、エイブラムス夫妻は、息子の入院期間が 784日間にも及ぶとは想像もしていませんでした。
「オーウェンと同じくらいの早産の場合、肺は最後に発達します。そのことが原因で、入院中に呼吸困難の症状が発症しました。医師は入院してから1年足らずで、気管切開を行うことを勧めました。」
気管切開とは、頸部を切開して気管に直接気道を開く外科的処置です。この処置を行うことで呼吸が楽になり、体全体にエネルギーが行き渡るようになります。ただ、同時に気管カニューレと呼ばれるチューブを常に首の周りにつけることを余儀なくされます。
これを受け入れる決断は、家族が下さなければならなかった最大の決定の1つで、息子の人生に大きな影響を与えることになった、とニックさんは語ります。
「当時は私たちは恐怖と驚きで圧倒されていました。周りに経験のある人もいなかったので、どうして良いか途方に暮れました。しかし、気管切開を受けることを決定してからは、少し落ち着けるようになりました。」
エイブラムスさんは、この出来事によって、悲しむのではなく、毎日の喜びに集中することを決めました。
「世の中には、私たちと同じように恐怖と悲しみに潰されそうになる経験をしている人がたくさんいます。そんな中でも、ユーモアと喜びを見出して少しでも気分を明るくしていくことで、悲劇と思われる事態を普通のこととして対処できるはずだと考えました。」
こうしてニックさんは妻と共に、オーウェン君のような症状を持つ子供たちのために、チューブをデザインにしたシャツを作ることにしました。
「家族や友人に向けてTシャツを作ったことが、現在のStomaStomaにつながっています。『新しいアイデアが浮かんだから、試してみない?』、こんな感じでデザインを形にしていきました。」
ニックさんのデザインは、人目を引くだけでなく、同じ状況の子供たちや家族の物語を語っています。そして何よりも、StomaStomaのアイテムは、ポジティブな面や前向きな考えに焦点を当てることで、苦しみの最中にいる家族の日常生活をより明るくしていきました。
StomaStomaのデザインを作成するのは大変ですが、作業はとても楽しい、とニックさんは語ります。そしてアイデアを実際にデザインに替える方法についても教えてくれました。
「次のデザインへのアイデアリストを作っていて、何かを思いついたときはいつでも書き留めるようにしています。その後、リストの中からアイデアを整理して、イラストを作成する作業に入ります。この中で、よくできたものがショップで掲載されるデザインとなります。」
例えば、クリスマスシーズンには、普段とは異なる特別な4つのデザインを発表しました。
「クリスマス向けのデザインでは、気管切開を受けた人々全員が共感できるデザインを使いました。この病気の知識がないとわかりづらいですが、気管カニューレのチューブにはさまざまな種類があります。形状が異なったり、キャップの有無という違いもあります。これら全てのデザインを作ることで、同じ病気で苦しむ誰もがこの「コミュニティ」の一員だと感じて欲しかったのです。
また、StomaStomaの名前の由来について、ニックさんはこのように答えました。
「Stoma(ストーマ)という言葉は、身体の開口部を意味する医学用語です。私たちの息子には、栄養チューブ用のストーマと気管チューブ用のストーマがついています。だから、2度繰り返してStomaStomaとしたのです。」
フリーのデザイナーとして働いていたニックさんは、さまざまな場所で自身のスキルを試してきました。StomaStomaを立ち上げる前は、クライアントのオンラインショップの手伝いもしていました。さらに、イラストレーションとビジュアルでのストーリーテリングに従事する機会もあり、これらの経験全てが、彼の最大の情熱となるStomaStomaに繋がりました。
「これらの経験のおかげで、クリエイティブなバックグラウンドを活かしてアートワークを作成し、ショップで販売するというコンセプトを考え出すことができました。」
ニックさんは、StomaStomaの商品はすべて、妻と共に戦った努力の結果だと言います。
「StomaStomaは私たちにとっては副業で、非常に少ない予算で、すべてを自分たちで行っています。ショップはShopifyの無料アプリとウェブサイトテンプレートを使用して作りました。 また、Printfulのモックアップ作成ツールも本当に助かりました。この機能があれば、すべての商品写真を自分達で撮影する必要がないんです。」
マーケティングに関して言えば、まだ有料広告を試していないため、努力した分だけショップの成長に現れました。
「FacebookとInstagramは、人々と繋がるための主要なチャネルです。ショップにメール ニュースレターの登録フォームがあることも、ショップの成長に役立ちました。」
ニックさんはShopifyのPrivyというアプリを使用してStomaStomaのニュースレター宛てのメールを収集し、Mailchimpを使用してそれらのメールを送信しています。
ニックさんがもう1つ重要なこととして語るのは、SEO(検索エンジン最適化)の重要性です。彼は、検索エンジン向けのWeb サイトの最適化、特に画像のメタディスクリプションと代替テキスト(altテキスト)の作成に非常に注意を払っているそうです。
ニックさんのお話を聞いているうちに、StomaStomaが、コミュニティを構築し、人々の人生を変えるショップになったことがすぐに理解できました。
「私たちの目標は、途方に暮れるような未知の経験が溢れる状況でも、喜びとユーモアが強い武器になるということを伝えることです。だからこそ、似たような境遇の家族とつながり、戦っているのは自分達だけではない、ということを知らせたいと思っています。」
StomaStomaの輪はどんどん広がっていきました。同様の症状を持つ患者家族だけでなく、オーウェン君のような子供たちを助ける医師、看護師、呼吸器専門家もこのコミュニティの一員となりました。
そして、ヒューストン、シアトル、コロラド、シカゴ、アリゾナの小児病院と提携して、チーム用のオリジナルTシャツを作成するまでに至りました。
「それぞれが好きなデザインを選んで、病院のロゴや部門名を背中に追加して、シャツをパーソナライズできるようにしました。」
ニックさんは、StomaStomaのTシャツを着用することで、医師や看護師たちがそれぞれのストーリーを語ってくれると信じています。また、患者の家族に向けてポジティブな考え方を広めるのにも役立つと考えています。
また、オリジナルアパレルを販売するだけでなく、SNSを通して同様の状況にある子供や家族との密接なコミュニティを構築していきました。
StomaStomaのインスタグラム:「子供が病院で過ごす際の5つのポイント」として子供の入院生活のヒントやアイデアを紹介。
さらに、エイブラムス夫妻は、ウェブサイト上で役立つ情報やダウンロード可能なコンテンツを共有することも行っています。また、医学的に虚弱な子供がいる家族のための便利な玄関の張り紙も作成しました。
ニックさんが作った張り紙:「ようこそ」の下には、「手洗い、靴を脱ぐ」などの家に入る際のお願い事が明示されています。
「家に訪問する人たちに、手を洗い、靴を脱ぎ、病気の場合は立ち入らないように求める玄関用の張り紙を作りました。これで、家に立ち寄った人と気まずい会話をすることなく、自分達の状況を相手に理解してもらうことができました。」
「Tシャツを作って良かったと思うのは、同様の症状を持つ子供が私たちのTシャツを着用した写真を送ってくれる時です。彼らは、学校の初日にこのシャツを着るつもりだと言い、誇りを持って着用してくれます。また、子供たちがデザインにあるチューブの違いに気づいてくれることも嬉しい点です。こういう体験によってモチベーションを維持し、さらに多くのデザインやアートを作ってコミュニティに届けたいと思えます。」
ニックさんは、オーウェン君が毎日成長し続ける幸せな子供であることを喜び、そのことを共有しています。
「オーウェンが退院してから約14か月が経ちました。現在、理学療法、作業療法、言語療法を続けながら、特別教育の就学前の学校に通っています。今年はオーウェンと私たちの家族にとって変化の年になると感じています。これまでに失われたものを取り戻す時期です。」
オンラインショップ経営については、将来および現在のECビジネス運営者に伝えたいアドバイスがあると言います。
「ビジネスは顧客の問題を解決するものでなければいけません。自分中心に考えることと、他の人にとって価値のあるものを提供することに考えることは、大きく異なります。」
さらに、こう付け加えます。
「自分のストーリーと利用できるツールを使用して、誰かのために尽くし、人々を愛することは特別な体験です。それが自分のパワーとなり、自分自身の人生の生きがいとなっています。」
著者:Ilze Folkmane 読了時間:11分
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著者:Yukari Kato 読了時間:13分
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Yukari Katoさんが2022年11月17日に投稿
Yukari Kato
メディア業界での経験を経て、ヨーロッパでMBAを取得。eコマース、デジタルマーケティング、Printfulのコツや活用法など、最新情報をお伝えてしていきます。
メディア業界での経験を経て、ヨーロッパでMBAを取得。eコマース、デジタルマーケティング、Printfulのコツや活用法など、最新情報をお伝えてしていきます。
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著者:Yukari Kato
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