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マーケティング基礎知識

クロスチャネルとは?クロスチャネルマーケティングの仕組みやメリットを紹介

クロスチャネルとは?クロスチャネルマーケティングの仕組みやメリットを紹介
Yukari Kato

著者:Yukari Kato

読了時間:8分

マーケティングを行う上で、「クロスチャネル」や「オムニチャネル」というワードは理解しておきたい基礎的なワードです。目にする機会も増えていると思いますが、「クロスチャネル」の仕組みや「オムニチャネル」との違いを、はっきり理解していないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は「クロスチャネル」について、オムニチャネルとの違いに加え、仕組みやメリットから成功事例まで分かりやすく解説します。

クロスチャネルとは?

「クロスチャネル」とは、実店舗やECサイト、SNSといった複数のチャネル(顧客とのタッチポイント)があり、各チャネルの在庫データや顧客データを連携して管理できている状態を表している言葉です。

つまり、複数のチャネルがある「マルチチャネル」が進化した状態で、情報は一本化されリアルタイムに更新されます。これにより、各チャネルにおける最新の在庫状況を消費者へ届けることができ、店舗や配送などのさまざまなチャネルで商品を受け渡すことが可能です。

クロスチャネルをさらに進化させた状態が「オムニチャネル」です。強化されたデータ連携により、オフラインでもオンラインでもそれぞれのチャネルで一層スムーズな購入を可能にします。これにより、さまざまなチャネルから顧客を囲い込み、あらゆる方向性からの新規顧客を取り込みます。

クロスチャネルで可能なのは情報の一本化ですが、オムニチャネルではさらに情報を相互で利用できる状態になっています。ポイントの利用を例に説明すると、クロスチャネルでは実店舗で貯めたポイントをECサイトでは利用できませんが、オムニチャネルでは実店舗で貯めたポイントもECサイトで利用可能です。

クロスチャネルの仕組み

クロスチャネルの仕組みを表したイメージ図

クロスチャネルでは、実店舗やオンラインショップなどの複数あるチャネルの顧客や在庫などのデータをシステム上で一本化しています。そのため、顧客が店舗やECサイトの在庫状況をオンライン上で確認でき、在庫のあるチャネルへ顧客を誘導できる仕組みになっています。

また、情報をまとめて管理することで、WEBサイト閲覧やメール開封といった顧客の行動のデータを分析し、顧客に合った方法でアプローチすることが可能です。オンラインショップや店舗だけでなく、WEB広告やSNS、アプリなどを連携させることでリピーターを増やすだけでなく、新規顧客の増加も見込める仕組みを構築できます。

クロスチャネル導入のメリット

クロスチャネル導入のメリットは「顧客の利便性向上」「在庫管理の一本化」「顧客の囲い込み」です。クロスチャネルマーケティングを行うためにはシステム化が不可欠となり、手間やコストがかかりますが、ブランド全体で行うことで高い効果を得られます。

メリット1「顧客の利便性向上」

スマホでショッピングを楽しむ女性

最大のメリットは、顧客の状況にあった方法で販売できる点です。顧客の状況に合わせて、店舗やオンラインショップなどで販売し、受け取る場所も店舗や自宅を選べるため、顧客の利便性が向上します。

また、顧客との接点を複数持っていることで、ニーズや関心をより詳細に解析でき、顧客それぞれに合わせた施策が可能です。

メリット2「在庫管理の一本化」

PCで在庫管理する人々

クロスチャネルを導入すれば、在庫データも一本化されるので、ある店舗の在庫がなくても他店舗やオンラインショップなど在庫のあるショップで販売できます。そのため、顧客は欲しいものを欲しい時に入手可能です。これにより、店舗運営者は、売り切れでも顧客を逃すことなく在庫状況の偏りも防げます。

メリット3「顧客の囲い込み」

たくさんのショッピングバッグを持っている男女

オンラインショップ、実店舗、SNSなど、複数チャネルを横断してマーケティング施策を行えます。実店舗やオンラインショップで使えるクーポンをSNSで発信すると、顧客は実店舗とオンラインショップで共通のポイントを貯めることができます。

また、実店舗でオンライン用のクーポンコードを配布したり、オンライン上で実店舗用の割引クーポンを配信したりすることも可能です。そのため、実店舗の顧客をオンラインショップへ誘導したり、反対にオンラインショップの顧客を実店舗に呼び寄せたりと、複数のチャネルで顧客を囲い込めます。

クロスチャネル導入は小規模ビジネスに最適

街の小さな洋菓子店

クロスチャネルは、顧客情報や在庫情報のデータ化が必要となるため、ビジネスの規模が小さいほうが容易に導入できます。ネットショップと実店舗を運営していても、小規模ビジネスでは一か所で在庫を管理しているケースが多く見られます。同時に、ビジネスの規模が小さいほど、顧客との距離感が近く、好みの傾向やニーズを把握しているケースも多数です。

一方、ビジネスの規模が大きくなるほどクロスチャネルの導入はハードルが高くなります。しかし、顧客関連情報を一括して管理するCRM(顧客関係管理)を活用することで、ビジネスの規模に関係なく、需要が可視化され在庫を管理しやすくなります。

クロスチャネルの戦略とは

クロスチャネルの戦略イメージ

かつてはショップやメーカーなど、販売側の情報をきっかけとして購買行動を行う消費者が多くを占めていました。しかし、スマホやSNSが普及した現在では、自ら商品の価格や評判などの情報を調べ、自分に合った場所や購入方法で購入する消費者が増加しています。

つまり、消費者にとっては実店舗とオンラインのボーダーがなくなりつつあります。そのため、顧客一人ひとりに合わせた方法でリーチできるクロスチャネルは、マーケティングにおいて効果的な戦略となっています。ここでは、「顧客のパーソナライズ対応」と「顧客行動の可視化」という2つのポイントに焦点を絞って、クロスチャネルの戦略を分析していきます。

顧客のパーソナライズ対応

顧客の個性の分析とパーソナライズされた情報の発信は、クロスチャネルにおいて重要な戦略のひとつです。購入履歴データに基づいた類似商品や関連商品の提案を希望している消費者が増加しています。

また、消費のトレンドは価格よりも好みや価値観を優先させる傾向にあります。そのため、販売者には、顧客の価値観やニーズを分析し、パーソナライズしたサービスを提供することが求められています。

顧客行動の可視化

クロスマーケティングでは複数のチャネルで顧客にリーチできるため、顧客一人ひとりの関心やニーズといった情報をより正確にデータ化できます。つまり、各チャネルでの顧客の行動を分析することで、顧客の購買行動を把握できるのです。

例えば、「メール配信したクーポンのリンクから対象商品を検索した」という行動からは、「クーポンをきっかけに、特に買いたいものは決まっていないが、商品をチェックした」ということが分かります。また、ECサイトのトップページのカテゴリーページから、価格帯を絞って検索していたら、具体的に欲しいアイテムと予算が決まっている、ということが分かります。

このように、顧客行動が可視化されることにより、顧客の購買心理を読み取れるため、クーポンや関連商品の提案など、顧客に合わせたアプローチが可能です。

クロスチャネルマーケティングの手法

PCを囲んで成功を喜ぶ人々

それでは、前の項で説明した「顧客行動の可視化により得たデータから、パーソナライズしたメッセージを顧客へ届ける」というクロスチャネル戦略の実践方法を説明します。

ステップとしては

  1. ターゲットの理解
  2. ターゲットの行動を分析
  3. 顧客データの統合
  4. パーソナライズした情報の発信

となっています。それぞれのステップについて詳しく説明していきましょう。

ステップ1. ターゲットの理解

まず、販売している商品やサービスを求めているターゲットのペルソナを作成します。性別や年代、職業、世帯構成といった基本的な情報に加え、価値観や好みを掘り下げることで、ターゲット像を具体化しましょう。ペルソナからターゲットのニーズを推理していくのです。

ステップ2. ターゲットの行動を分析

次に、作成したペルソナの購買行動を分析します。チャネル別にターゲットの行動を時間軸に沿って表などにまとめ、行動を可視化します。ターゲットの行動を可視化した表をもとに、販促施策などを計画します。

ステップ3. 顧客データの統合

つづいて、さまざまなチャネルで蓄積した顧客データをまとめます。CRM(顧客関係管理)システムなどを導入することで、それぞれのチャネルでの動向を顧客ごとに管理できます。

ステップ4. 顧客に合わせた情報の発信

まとめた顧客データに基づいて情報を発信します。顧客データを基にパーソナライズすることで、クーポンやセール情報など、顧客それぞれが求める情報をタイミングよく提供できます。

クロスチャネルの成功事例

クロスチャネルではどのような効果が期待できるのか、分かってきたと思います。そこで、クロスチャネルを導入して成功した事例を2つ紹介し、クロスチャネル導入の効果を具体的に見ていきましょう。

事例1 一休.com

オンラインで宿泊予約サービスを提供する一休.comは、広告、WEBサイト、自社CRMなど、それぞれに管理を行っていましたが、顧客ごとに全てのデータを統合しました。さらに、機械学習によりメッセージとキーワードの最適化を行っています。

これにより、データ管理の一元化と、顧客に合ったメッセージ配信が可能となり、マーケティング投資による最大の利益を得られました。

事例2 森永製菓「エンゼルPLUS」

森永製菓のコミュニケーションサイト「エンゼルPLUS」が以前利用していたSNSでは、データ取得に限界がありました。そこで、自社WEBサイトにおけるMy Pageとコミュケーションサイト上でファンの行動データを蓄積し可視化しました。さらに、顧客一人ひとりに合ったメッセージをマーケティングオートメーションにより配信するなど、コミュニケーションを続けています。

森永製菓による年1回の消費者アンケート調査では、エンゼルPLUS会員の製品購買額は、非会員の製品購買額と比べ、数倍高額であることが分かっています。

クロスチャネルマーケティング成功のポイント

屋外でスマホを見ながら微笑む女性

クロスチャネルマーケティングを実践するチャネルでは、アプリ、SNS、WEB広告の3つのチャネルが代表的です。これら3つのチャネルを上手に使い分け活用することが、クロスチャネルマーケティングの成功につながります。

提供している公式アプリを利用している顧客は、会員登録をし、ポイントなどを貯めるリピート率の高い顧客です。そこで、顧客の囲い込みを目的としたアプリ限定のクーポンや新着情報の発信が効果的です。

SNSをフォローしている顧客は、アプリ会員ほど購買意欲は高くないものの、商品やブランドに興味を持っている顧客です。SNSはフォローされやすいため、多くの顧客にリーチできるうえ、拡散されることも多いチャネルです。セール情報などをアピールしやすく、新規顧客の獲得も期待できます。

WEB広告には、検索キーワードによって表示されるリスティング広告や、バナータイプのディスプレイ広告といったものがあり、新規顧客にアピールできます。検索傾向などユーザーの行動を分析することで、関心の高そうな顧客にアプローチできるチャネルです。

クロスチャネルの課題

クロスチャネルの成功は、顧客情報を完全に一本化し、チャネルや部署に関係なく共有できることが鍵となります。しかし、ビジネスの規模が大きい会社の課題は、データが共有されておらず、部署や部門別に個別に管理・運営されているため、データを活かせないという点です。

販売、物流、システムなど、部門による障壁をなくすためには、それぞれの部門代表者と企業トップの側近が、クロスチャネル導入をリードし進めていく必要があります。

さらに、大量の顧客情報を傾向ごとに分けるなど、筋道をたてて管理しなければなりません。それに伴い、専門知識も不可欠で、企業に合ったツールやプラットフォームの導入も必要です。

まとめ

顧客に、より快適な買い物体験を提供するクロスチャネル。スマホとSNSの普及により、消費者の購買動向やマーケティングは今後も大きく変わっていく傾向にあります。クロスチャネルを導入すれば、顧客情報や在庫状況の管理を一本化できます。

なお、顧客とのタッチポイントが豊富なクロスチャネルですが、さらに進化させればオムニチャネルを構築でき、顧客にさまざまなチャネルでのシームレスな体験を提供できます。今後のオムニチャネル導入を視野に入れているなら、最初のステップとしてクロスチャネルから入って様子を見ることも考えられるでしょう。

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Yukari Katoさんが2022年2月22日に投稿

Yukari Kato

メディア業界での経験を経て、ヨーロッパでMBAを取得。eコマース、デジタルマーケティング、Printfulのコツや活用法など、最新情報をお伝えてしていきます。

メディア業界での経験を経て、ヨーロッパでMBAを取得。eコマース、デジタルマーケティング、Printfulのコツや活用法など、最新情報をお伝えてしていきます。

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Yukari Kato

著者:Yukari Kato

読了時間:8分 2022年2月22日

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